佐藤徹さん

「食の都庄内」を支える庄内人 vol.3


ホテルリッチ&ガーデン酒田

洋食調理部 チーフ

佐藤徹さん



昨年、デンマーク王室専属シェフのフレデリック氏と「庄内×デンマーク」コラボレーション・ディナーを開催。
様々な分野の料理に挑戦する一方、3人のお子さんのお父さんでもある佐藤シェフは、家庭での食事も大切に考えていらっしゃいます。

おいしいかぼちゃの秘密にびっくり
-佐藤シェフは、食材の産地を見学したり、生産者との食事会を開いたりと、生産者とのつながりを大切に していらっしゃいますよね。それは、どんな思いからなんですか?

ある日、山居館に野菜を仕入れに行ったら、「うぢのカボチャ、甘んめさげ買ってげ」と薦めてくるお母さんがいたんです。食べてみたら、本当に甘かった!その時、「野菜作ってる人達も何か言いたいことというか、意見があるんじゃないかな。」って思ったんです。 それで、そのお母さんの畑に行って、どんな風に作っているのかを見せてもらったんです。行ってみてびっくり!畑にヨーグルトを撒いていたんです!話を聞くと、ヨーグルトの菌で土壌が変わって、かぼちゃが甘くなるんだとか。他にもいろんな生産者の方の畑を見せてもらいましたが、皆、おいしい野菜を作るために、いろんな工夫や苦労をしているのが分かりました。ひとつひとつの食材を大切に使わないといけないなぁ、と思うようになりましたね。


生産者から聞いた話は、レストランのお客さんにもお話します。最近は、「このイチゴは、なんでこんなに甘いんですか」なんて質問されることもあるので、栽培方法のお話をすると、お客さんがとても喜んでくれるんです。 たまに、生産者の野菜を使った食事会をやっているんですが、生産者の皆さんが「こんげして食べんな、初めでだ。おいしのぉ。」と喜んでくれるのが嬉しいですね。料理は、食材あってのものですから、生産者の皆さんには本当に感謝してるし、これからも信頼関係を大切にしていきたいと思っています。

「食」は体と心を作るもの
-佐藤シェフが「食」で大切にしていることはなんですか?

クリックで拡大します

「ガーデンナチュレ ふきのとう」のコンセプトは、“安心・安全、おいしくヘルシーな料理”です。
お袋の味といってもいいですね。母ちゃんのごっつぉって、野菜をいっぱい使ってて体に良いし、毎日食べても飽きない。そんな風に「ふきのとう」の料理を食べて、健康に、元気になってもらえたら、と思っています。

その「食」と健康の関係ですが、この間、興味深い話を聞きました。スポーツ選手の食事管理をしている栄養士さんの講演会があったんです。その時、なるほどなーと思ったのが、何を食べるかによって、脳や体の動きが違ってくるというお話でした。食べ物とスポーツ選手のパフォーマンスって、密接な関係があるんだそうです。それと、朝食にパンを食べるか、お米を食べるかで子どもの集中力の持続時間が違う、とも言っていました。パンを食べた子どもは2時間目までしか集中力が持たないのに、お米の子どもは、3時間目まで持つというお話でした。ちなみに、我が家では、毎朝ちゃんとお米を食べてます(笑)。そんな話を聞いて、「食」とは体と心を作るものという「食の原点」に改めて気づかされました。
「食」というと、普段、家では作らない特別な料理を食べる、という楽しみもありますが、毎日食べる普段の食事も大切にしたいですね。

「庄内ならでは」の食を守るには、「庄内の味の記憶」を伝えていくこと
─「食の都庄内」を盛り上げていくには、どんなことが必要だと思いますか?
庄内を「食の都」にするには、「外向け」と「地元向け」の二つが必要じゃないかな、って思います。「外向け」というのは、県外へのPRです。それは、いろんな料理人が頑張ってるし、「おくりびと」効果も手伝って、庄内を訪れる人が増えてきたと思うんです。それと平行して、「地元向け」のことを考えないといけないと思うんです。正直、地元の人には「庄内が食の都だ」という感覚って、あまりないんじゃないかなぁ、と。外の人から言われて初めて、「へぇ、んだが」っていう人が多いと思うんです。外から来た人が、「おいしい、おいしい」と言って食べているものを、こっちの人は、昔から当たり前の様に食べてますからね。
料理

クリックで拡大します


ただ、最近、その辺の状況が変わってきました。共稼ぎが増えて、コンビニやスーパーのお惣菜で済ませる家庭が増えてきたんじゃないでしょうか。それは仕方ないことだと思うんですが、そのお惣菜に、地元の野菜をちょっと添える、という工夫をするだけで、いいと思うんです。なんでそれが大事かと言うと、子どもの頃に食べたものを、大人になってからもおいしいと思う「味の記憶」は、中学生ぐらいまでで決まるからなんです。だから、その頃までに庄内のものを食べて、「庄内の味の記憶」を作っておくことが大事。その季節になると、毎年食べたくなるもの、ってあるでしょ?酒粕がたっぷり入った孟宗汁とか。このまま「庄内の味の記憶」を持たない子ども達が増えていったら、「庄内ならではの味」も消えていくんじゃないかと思うんです。庄内を「食の都」にするには、外にPRしつつ、地元の人たちが「庄内ならではの味」を食べて、作って、伝えていくことが 必要だと思います。

店内
―佐藤シェフは、昨年、デンマーク大使館のシェフと一緒にデンマーク料理のクリスマスディナーを企画したり、この2月・3月にはスペイン料理フェアも行う等、様々な分野の料理にチャレンジされていますが、今後、やってみたいことは何ですか?
今、栄養学を勉強しているんです。どんな食材にどんな栄養があって、それが体にどんな風に役立つか。これを勉強したら、小学生と親御さん向けの親子料理教室をしたいと思っています。親御さんには、忙しい中でも、簡単に作れるへルシー料理を知ってもらいたいです。そして、こども達には、そういう手づくりのおいしさが「庄内の味の記憶」として残れば、と思っています。

もう1つは、今年の春、休みをもらって、農業のお手伝いをしたいと思っています。砂地で作るとおいしいもの、粘土質の畑で作るとおいしいものなど、「適地適作」ってあるんですね。実際に農作業をすることで発見できることがたくさんあるんじゃないかと楽しみにしています。そして、いつもお世話になっている生産者の方の苦労を身をもって体験したいと思っています!
入り口

佐藤徹 Sato Toru

ガーデンナチュレ ふきのとう
(ホテルリッチ&ガーデン酒田内2F)

洋食調理部 チーフ

住所:酒田市若竹町1-1-1
電話:(0234)26-1117
営業時間
昼 11:30~14:00
夜 18:00~21:00

「ガーデンナチュレ ふきのとう」では、すぐ近くの産直「山居館」や生産者から野菜を仕入れるなど、地元の野菜をふんだんに使っている。ランチタイムが始まると、低農薬栽培のこだわり野菜を使ったメニューが次々に並ぶ。 バイキングスタイルの「ふきのとう」は、新鮮野菜を好きなだけたっぷり食べられることから、女性に大人気。店内には、生産者の写真も飾られている。
(取材日:2010年1月22日)

contents

庄内の食材が食べられるお店
ロゴマークについて