手塚太一さん

「食の都庄内」を支える庄内人 vol.4


手塚商店

社長

手塚太一さん



明治30年代に海産物商として始まり、現在は鶴岡水産物地方卸売市場の卸売業を営む手塚商店さん。
その6代目 手塚太一さんは、庄内の魚の情報を積極的に発信しています。
手塚さんの実直で穏やかな語り口から「もっと魚のことを知りたい。そして、それを伝えたい」という想いが伝わってきます。

知れば知るほど、もっと知りたくなる庄内の魚。
そのおいしさをたくさんの人に伝えたい。
―手塚さんは、100年余り続く家業を継がれている訳ですが、小さい頃から跡取りということを意識してらしたんですか?
いいえ。子どもの頃は、全く別の夢を持っていました。 映画が好きで、映画やミュージックビデオを作るのが夢でした。落語家になりたいなぁ、と思っていた時期もありましたね(笑)。でも、大学生の頃、「自分にしかできない仕事って何だろう?」と考えるようになりました。そして、22歳で結婚するのを機に、鶴岡へ戻ってきて家業を継ごうと決めたんです。 初めの頃は、似たような魚は全然見分けがつかなくて苦労しました。この仕事に就いて17年になりますが、まだ分からないことがたくさんあります。だから、今でも浜の人達からいろいろと教えてもらっています。それと、私は食べるのは好きなのですが、料理は余り得意ではないので、料理方法等は、料理人さんに聞いたりします。まだまだ知りたいことがたくさんありますね。
―現在、地域の情報誌等で庄内の魚について情報を発信したり、庄内浜文化伝道師マイスターとしてもご活躍ですが、どんなことを伝えたいと思っていらっしゃいますか?
みなさんに庄内の魚をおいしく食べてもらうには、魚のことをもっと知ってもらうことが大切だと思っています。いつ、どんな魚が獲れるのか、そして、どんな味の特徴があって、どんな食べ方をするとおいしいのかなど。ただなんとなく食べるのと、そういうことを知って食べるのとでは、食の楽しみ方が違ってくると思うんです。
魚屋さんに行ったら、いろいろ聞いてみるといいと思いますよ。魚屋さんが薦める魚は間違いないですから。今日のおすすめは何で、どんな食べた方をしたらおいしいかなど、ぜひ、聞いてみてください。そうすると、今まで知らなかった魚のおいしさに出会えると思います。

「食の都」=「おいしい食材」+「おいしく食べる智恵」
―庄内の魚は新鮮でおいしい、と言われますが、ほかの地域と比べて、どんな特徴があるんでしょうか。
庄内は、四季折々の魚が獲れる上、「庄内では獲れない魚がない」と言われる程、魚種が多いんです。それと、鮮度が良いというのも大きな特徴でしょうね。それは、漁の方法に理由があります。例えば、船の大きさですが、太平洋側は大型船が多く、庄内は小型船中心です。これによって、獲れる魚の種類が変わってくるんです。太平洋側は、群れで回遊している魚を大きな網でガバっと獲るので魚種が限られます。それに対し、小型船だと岩の多い場所にも入っていけるので、様々な種類の魚を獲ることができるんです。また、網が大きいと魚に傷がつきやすく、鮮度が下がる原因になりますが、網が小さいと傷が少なく、鮮度を保てる、というわけです。
─手塚さんは、ご自身のブログ「食の都庄内だより」で庄内の魚について書かれていますが、手塚さんの考える「食の都」とはどういったものですか?
「食の都」というのには、2つの要素があると思います。1つは「食材」です。庄内は四季折々の魚が獲れる上、魚種も多く新鮮なので、食材としてはとても恵まれていると思います。もう1つは、「おいしく食べる智恵」だと思います。庄内は魚種が豊富だとお話しましたが、それは、様々な食べ方を知っている地域とも言えます。 例えば、鯛やスズキは一年中獲れるわけですが、大きな鯛は刺身に、小さいのは丸ごと塩ふりにして食べたりします。スズキは、特に夏には「洗い」にして食べるなど、魚の特徴、季節によって食べ方が違うんですね。庄内は、魚のいろんなおいしさを知っている地域じゃないでしょうか。

―手塚さんがこれからやっていきたいことは何ですか?
庄内には、市場には出回らないけど、おいしい魚がいっぱいあります。そういう魚は見た目が良くなかったりして売れないので、市場に出ることはほとんどありません。また、漁は自然相手なので、海が荒れれば魚は獲れないし、旬を過ぎてから大漁に獲れることもあります。私は、せっかく獲れた魚だから、自然からの恵みを無駄にすることなく、工夫しておいしく食べてほしいな、と思うんです。今後は、そういった魚を実際に食べてもらえるイベントができたらいいな、と思います。 そして、魚のおいしさと、おいしく食べる智恵をもっともっとたくさんの人達に知ってもらい、庄内の食の豊かさを伝えていけたら、と思います。
手塚商店

手塚太一 Teduka Taichi

手塚商店 社長

住所:鶴岡市馬場町7-8
電話:(0235)24-3335
営業時間
市場:4:00~
事務所:8:00~17:00
e-mail:tezuka@tezukashoten.com

※庄内浜文化伝道師マイスター 県では、地魚の美味しさや食文化を 伝える人を「庄内浜文化伝道師」に 認定している。「庄内浜文化伝道師マイスター」は、伝道師の指導を行う 他、豊富な知識や高度な調理技術を活かし、地魚料理教室等の講師としても活躍している。
(取材日:2010年1月21日)

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