「食材」庄内のおいしい食材

秋の食材

さけ

鮭
日本海に面し鳥海山を北に望む遊佐町は、清らかに溢れる湧水の里として知られています。遊佐町を流れる月光川水系7河川には、かつて7ヶ所の鮭の採捕場・孵化場がありました。その歴史は古く、1800年代には庄内藩が牛渡川と滝淵川を鮭の種川として指定。鳥海山の伏流水からなりたち、梅花藻が揺れる清流として知られる牛渡川上流の箕輪地区では、明治時代から採捕と孵化事業が始められました。現在では箕輪鮭漁業生産組合、升川鮭漁業生産組合、高瀬川鮭生産組合の3ヵ所で、孵化・放流が行われています。
10月から12月にかけて、産卵場所を求めて次々と川を遡ってくる鮭は上流で捕獲され、採卵・受精の後にその役目を終えます。受精卵は孵化槽で静かに孵化を待ち、およそ45日後に稚魚が誕生。飼育池に移されできるだけ自然に近い状態を保ちながら育てられます。翌年2月半ばから3月にかけて、海水温が12~13度になりプランクトンが大量に発生する頃、体長約8センチほどに育った稚魚は川へと放たれ、雪解け水の流れに乗って海をめざして泳いでゆきます。
川を下って日本海に入った稚魚は、河口付近で海に身体を馴染ませた後北洋一帯を回遊しますが、なぜか4年後の夏、千島列島に沿って突然南下をはじめ産まれ故郷の川をめざします。これは鮭の母川回帰本能と呼ばれていますが、その理由については未だ明らかになってはいません。しかし最近では、生まれた川の水の匂いを嗅ぎ分けて懐かしい故郷へ戻ってくるのではという説が、最も有力になっています。
箕輪鮭漁業生産組合の富樫和雄組合長によれば、鮭の遡上は毎年10月中旬より10月末、11月下旬より12月中旬のふたつのピークがあり、月光川水系全体では1万~2万匹の鮭が遡ってくるとのことですが、箕輪では約800万匹の稚魚を放流し、無事回帰できるのはそのうちの0.3~0.5パーセントほどだそうです。他の魚の餌になるもの、海で採られてしまうものも多く、北海道でメジカと呼ばれて珍重されている、脂がのって非常に味の良い鮭も、月光川水系などから旅立ち、故郷に戻ってくる途中の鮭であるといわれています。
庄内では鮭のことを「ヨオ」と呼んできました。ヨオの語源はウオ(魚)から。つまり鮭は魚の代表なのです。鮭は頭から内臓まで、捨てるところの無い魚です。どんがら汁、味噌粕漬け、昆布巻きなどのほか、寒風にさらした鮭とばなども作られ、人気を集めています。

※庄内の各スーパー、鮮魚店で販売しています。

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