紫織菜

庄内のおいしい食材

紫折菜

むらさきおりな

季節「春」


日本三大砂丘のひとつである庄内砂丘は、おいしげる松原が美しく、渚がどこまでも続きます。鳥海山を望む広大な庄内砂丘から少し離れた松林の中の砂地に、幻のツケナと呼ばれる伝統野菜が育ちます。その野菜は紫折菜。つぼみ菜やアスパラ菜といった、花のつぼみも一緒に食すことができる葉物野菜のなかまです。
酒田市古湊地区の小笠原茂雄さんは、今では少なくなった栽培農家のひとりです。この地区で古くから栽培されてきた紫折菜を当たり前のように受け継ぎ、伝統を守り続けています。紫折菜は種が市販されていますが、よりおいしく、品質の良い野菜を育てたいという小笠原さんをはじめとした10人の丸果古湊出荷組合のみなさんのこだわりで、各自が自家採種をし、おいしくて収量の取れる系統を選抜しています。このほか、組合内で様々な取り決めをし、昔から受け継がれている知恵と経験を絶やさぬように努力しています。
もともと、紫折菜は昭和10年頃、中国から全国に導入されました。紫折菜は厳しい冬を過ごさなければ、本来の甘さが不足し、おいしい紫折菜とは呼べません。酒田市古湊地区以外では雪害をおこしたり、土の中の水分が凍ることで根腐れをおこしたりとうまく栽培されることができませんでした。しかし、古湊地区では砂地ならではの水はけの良さや、日本海からの偏西風の影響で降雪量が少ない環境であったため、この古湊地区ならではの特産物に成長したのです。
海が近いといってもつめたい風が肌につき刺さるような2月。紫折菜の収穫は午前中にはじまります。一般的な野菜は収穫後、すぐに出荷されますが、小笠原さんをはじめとした紫折菜の生産者の方々の出荷方法にはこだわりがあります。午後になると収穫した紫折菜を束にして、冷たい水を張ったたらいにつけます。こうすることで切られた紫折菜が水を吸い上げ、すぐに袋詰めされるよりも長い時間、新鮮な状態を保つことができるようになるのです。たっぷり水を吸った紫折菜は翌日3時から箱詰めされ、5時に野菜市場に出荷されます。こうしたひと手間の中にも小笠原さん方の紫折菜に対する愛情が感じられます。
紫折菜
小笠原茂雄さん

小笠原茂雄さん

収穫した紫折菜

収穫した紫折菜


こうして愛情をたっぷりとかけられた紫折菜は、冬の厳しい寒さに耐え抜いた野菜だけが蓄えられる、引き締まった甘みがぎゅっと詰まっています。クセがなく、どんな料理にも合うので、そのままおひたしにする他にも炒め物や煮物、揚げ物など、さまざまな料理にアレンジすることができます。
今は貴重な在来野菜として人気がある紫折菜ですが、深刻な問題も抱えています。それは、高齢化のための栽培者の減少です。いくらおいしい野菜でも作り手がいなければ伝統を引き継ぐことができません。小笠原さんは、古湊地区にこだわることなく、紫折菜を栽培する農家が増えてくれれば良いと考えています。これまでも他地域に種をわけ、栽培法を伝授してきました。こうした取り組みを、絶えることなくさらに広げることで、希少な伝統野菜を次世代へ受け継ぐことができることでしょう
冬の畑

冬の畑

春の畑

春の畑


「紫折菜」の主な取扱店
百万石の里 しゃきっと
住所:鶴岡市覚岸寺字水上196-1
TEL:(0235)29-9963
営業時間:4109:0018:00/1139:0017:30
定休日:1/11/4

※庄内の各産直、スーパー、小売店でも販売しています。



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