「やまがたフルーツ150周年」企画 「食の都庄内」親善大使インタビュー
アル・ケッチァーノ オーナーシェフである奥田政行氏は、庄内産食材の魅力を国内外に発信し続けています。2025年には、著書『ゆで論』が、30年間に発刊された世界中の料理本の中で優れた本を選ぶ「グルマン世界料理本大賞」イノベーション&クリエイティブ部門でグランプリを受賞しました。
庄内産食材に精通した奥田シェフに、フルーツへの特別な思い、創作料理に活かす独自の哲学、そして未来に向けた生産者・料理人への期待について語っていただきました。
※2025年10月に取材した内容です。
vol.3「食の都庄内」親善大使 奥田 政行 シェフ
◇奥田シェフが語る、庄内フルーツの魅力
質問:奥田シェフにとっての、庄内のフルーツと言えば何ですか?
奥田:
庄内砂丘メロン「疲れた体に優しい味」
砂漠のような暑い中でね。甘みを蓄える。食味ランキングで夕張メロンをおさえて1位になったことがありますよ。庄内のメロン栽培はすごい物語があって、昔、メロンに命をかけた人がいるわけです。
さくらんぼ「4粒目から欲を満たす果物」
さくらんぼはね、3粒までがいいわけ。4粒目から自分の欲を満たしてしまう。デザートで使うときはね、3粒しか付けないようにしています。
ラフランス「儚い果物」
ラフランスは4分の1切れなの。「もう一口食べたい」と思うから、儚さが残る。2分の1出したらダメなの。食べる加減があるんです。
おとめごころ(いちご)
優秀なフルーツ。輸送には向かないけど、ペクチンが多くて、糖分が高いから粘度が出るんですよ。食味は一番いいです。
いちじく
僕が2番目に好きな食べ物はいちじく。1番は海藻。鼠ヶ関で過ごした子供時代は、よく、カラスと木に成ったいちじくを取りあったものです。
刈屋梨
梨は水分が多くて、糖分が少ないフルーツでしょ。だから水でゼリーを作るの。鳥海山のふもとで育った梨だから、鳥海山の水を楽しめて、梨本来のみずみずしさも楽しめる、そういうスペシャリテがあります。
庄内柿
柿のサラダは看板料理。作る方が苦しくなくて、食べる方も美味しくてリピートしてくれたら看板料理になるんですよ。庄内だとフルーツだけで朝食を楽しむ。そういう贅沢な楽しみ方ができますよ。
「庄内柿とレタスとフェンネルのサラダ」 の調理を実演する奥田シェフ
◇料理人としてのフルーツへのこだわり
質問:フルーツを使った料理への想いやこだわりはありますか?
奥田:庄内はイチゴからラフランスまでずーっとフルーツが切れないから、フルーツを料理するのが楽しみなの。だからデザートは、なるべく旬のフルーツを使ったものを作るようにしたいなと思っています。
果物の側に立ったデザートって、果物より甘いとダメなの。フルーツトマトみたいに糖分が高い野菜があるけど、野菜は野菜、フルーツはフルーツと分けて使うようにしています。
◇奥田シェフが描く、庄内の食文化の展望とエール
質問:食の都を支える生産者や料理人の皆さんへ、ぜひメッセージを送ってください。
奥田:
生産者への思い
僕は生産者の皆さんに、「夢と誇り」を持ってほしいと思っています。マスコミの取材が来れば、必ず生産者のところに行く。生産者に語ってもらったことが雑誌に載ると、生産者の自信になります。
僕はお店のプロデュースをやっていますが、生産者の食材をどんどん使って、「生産者の年収が500万円を超えてほしい」という思いでやっています。
料理人への期待
世界を意識した料理の作り方。これが難しいわけだけど、世界で評価されるのはね、突拍子もない料理なの。人類のために新しい料理を作るぐらいの、意欲的な人が出てきてほしいです。
冬の誘客対策
庄内は冬になると全然お客さんがいなくなるからね。しかも、ちょっと波が出るとね、すぐしけてね、漁に出られなくなるでしょ。カニを畜養して、湯野浜温泉などで提供できるようにしたらどうかと思います。
質問:庄内の食を愛する「食の都庄内」サポーターや、遠くからお店に食べにいらっしゃる皆さんに、メッセージを届けていただけますか?
奥田:庄内の食材のバリエーションは世界一なんです。出羽三山という山菜の聖地があります。リンゴだけで60種類、ブドウだけで80種類など、雪に弱い作物以外、全部作ってるんです。
畜産物もね、豚、鳥、やぎ、牛、羊、鴨を作っている。庄内は食に恵まれているんです。季節ごとに出回る食材を楽しむようにすると、毎日の食卓が、すごく楽しくなりますよ。
でも、どうしても冬の間は飲食店のお客さんが減ってしまうから、ぜひ、庄内に食べに来てください。