「食材」庄内のおいしい食材

夏の食材

鵜渡川原きゅうり

うどがわらきゅうり

酒田市亀ヶ崎地区に古くから伝わるきゅうりに「鵜渡川原きゅうり」というものがあります。この鵜渡川原きゅうりの特徴は何といっても「めっちぇこ(小さい)」いこと。その形の愛らしさから、「めっちぇこきゅうり」と商標登録されています。
全国的にも小型のきゅうりは珍しく、江戸時代の頃に外国から伝播してきたシベリア種が元祖であるといわれています。果実は短い楕円形で緑色はあまり濃くなく、半分ほどから先端に近づくにつれ白色に近くなります。生食では独特の苦味がありますが、漬物としては形状や肉質はとても良好です。昔きゅうりの特徴 である黒いイボが果実表面にあり、漬物用として5cm、15g程度で収穫されています。
この「鵜渡川原きゅうり」、今では、酒田の夏の味覚として、その愛らしい小型の漬物が有名ですが、なんと意外なことに30年くらい前までは、なますでの 食べ方も一般的だったそうです。当時から栽培している生産者の児玉静子さんは「大きくなった鵜渡川原きゅうりをなますにして食べると、パリパリした食感が とても美味しい。今の一般的なきゅうりではとうてい出せない味です。」と語ってくれました。まさに、このきゅうりの伝統を守る生産者だけが食べられる特権 であります。
しかし、伝統の在来作物を守り続けることは並大抵のことではありません。良いものを安心して食べてもらうために、生産者や生産地域を限定しています。その限定ゆえに、酒田市亀ヶ崎地域9名の精鋭農家のもとでしか栽培されておらず、生産量が少ないため有利販売がしにくくなっています。しかも、少しでも規格 外になってしまうと販売しないというこだわりが、生産量が増加しない原因になっています。生産者が高齢化し、面積拡大が望めないことも悩みの種です。
また、一般的なきゅうりとの交雑を防ぐため、純粋な鵜渡川原きゅうりを選抜するのも大変な作業となっています。さらに、このきゅうりは鮮度の低下がとても早く、収穫の翌日には果実の色が黄色くなり、売り物にはなりません。夏の収穫は朝と夕方の1日2回で、すぐに収穫、すぐに出荷が大原則で、暑い夏の作業の大 変さをなお一層のものにします。販売についても生食だと苦味が強いため、特徴を知らないで買った人は「苦くて食べられない!変な薬でも使っているのではないか?」などと苦情が寄せられることも多々あります。そんな苦労が多くある「鵜渡川原きゅうり」ですが、栽培を続ける理由を児玉さんに尋ねると、「儲けはほぼない。伝統を守る想いのみだの。」とのことでした。
鵜渡川原きゅうり畑
鵜渡川原きゅうりの写真
鵜渡川原きゅうり
料理
これからは、在来野菜でも利益に繋がるように販路を拡大することが課題です。少しでも利益が上がれば、亀ヶ崎地域での生産量や栽培したい人も増え、さらなる有利販売が可能となります。また、以前から食の親善大使のシェフらと協力していますが、今後も新しい食べ方をテレビや雑誌などを通し宣伝し、「鵜渡川 原きゅうり」の全国展開に繋げてゆきたいものです。
「鵜渡川原きゅうり」の主な取扱店
みどりの里 山居館
住所:酒田市山居町1丁目3-1
TEL:(0234)26-6222
営業時間:9:00~18:00
(11月~2月は17:30まで)
定休日:1/1~1/3

※庄内の各産直で販売しています。

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